嫌われる勇気

嫌われる勇気

【一言レビュー】
日本でアドラー心理学が有名になったきっかけともいえるベストセラー本。対話形式になっているので読みやすく、内容も面白いと思いました。自己啓発本としても人気で、自分の考え方や生きる姿勢に大きな影響を与えるような一冊です。

『嫌われる勇気』の内容・要約

まず『嫌われる勇気』の目次は、以下のようになっています。

第1夜トラウマを否定せよ
第2夜すべての悩みは対人関係
第3夜他社の課題を切り捨てる
第4夜世界の中心はどこにあるか
第5夜「いま、ここ」を真剣に生きる

全部で5つのパートに分かれており、アドラー心理学に詳しい哲人が、青年に解説するという内容で書かれているのが特徴です。

ここでは『嫌われる勇気』で紹介されている、アドラー心理学の考え方を簡単にまとめてみました。事前にチェックしておくと、本を読んだときに理解が深まるので参考にしてみてください。

目的論

目的論とは「すべての人間行動には目的がある」という考え方です。目的が先にあって、それを達成するために人間は行動するのだと、アドラーは説明しています。

ちなみに目的論と真逆なのが、心理学者のフロイトが提唱した原因論です。原因論では「過去の原因が現在に影響を及ばしている」という考え方をします。

『嫌われる勇気』のなかでも、原因論と対比する形で、目的論について触れられていました。

原因論
【フロイト心理学】
例:体調が悪いから勉強したくない
目的論
【アドラー心理学】
例:勉強したくないから体調が悪い

対人関係の悩み

アドラー心理学では、「人間の悩みは対人関係がすべて」だとしています。内面の悩みというものは存在せず、必ずどこかで対人関係の問題が関わっているという考え方です。

またここでよく聞くのが「劣等コンプレックス」という言葉です。自分が劣等であることを理由に、人生で直面する課題(ライフタスク)から避けようとしている状態を意味します。

アドラー心理学では、誰かと比較したり競争したりする必要はなく、ただ前を進むことが大切であると説明しています。

課題の分離

課題の分離とは「自分の課題と相手の課題を明確にする」というものです。何か問題が発生したとき、最終的な責任は誰にあるのかと考えます。

アドラー心理学では、「自分を変えられるのは自分だけ」としています。その境界線を超えてしまうと、人間関係のトラブルになるので注意が必要です。

なので他者の課題に踏み込まないことが重要だと、『嫌われる勇気』ではまとめられています。

共同体感覚

共同体感覚とは、「家庭・職場・地域社会などで、自分がそのグループに所属しているという感覚」を意味する言葉です。

共同体感覚を得るためには、自己への執着から他者への関心に切り替える必要があります。そのためには、自己需要・他社信頼・他社貢献が重要だと、アドラーは説明しています。

『嫌われる勇気』の読みやすさ

『嫌われる勇気』は全296ページで、読むのにかかった時間は3時間程度です。図解などはありませんが、哲人と青年の対話形式になっており、スラスラと読み進めることができます。

青年がアドラー心理学を論破しようと、徐々にヒートアップしていく様子が印象的で、内容も面白いと思いました。アドラー心理学本のなかでも、比較的読みやすいでしょう。

Amazonのレビューを見ても、読みやすさを評価している口コミが書かれています。アドラーの理論も簡潔にまとめられており、読書の習慣がない初心者にもおすすめです。

『嫌われる勇気』がおすすめの人

嫌われる勇気
こんな人におすすめ
  • アドラー心理学を知りたい人
  • 対人関係のことで悩みがある人
  • ビジネス書や自己啓発本を探している人

まず『嫌われる勇気』は、アドラーの考え方がもとになっています。この本がきっかけでアドラー心理学に興味を持った人も多いので、興味があれば読んでみると良いでしょう。

特に他者からの評価が気になったり、他者と能力を比べてしまったりする人にはぴったりだと思います。対人関係の悩みがある場合は、ぜひ一度チェックしてみてください。

またこの本は、ビジネス書や自己啓発本としても人気があります。口コミや評判でも、新しい気づきを得られるという感想もあるので、学生や社会人にもおすすめできる一冊です。

ちなみにアドラー心理学は、学者によって解釈が異なる部分もあります。そのため詳しく知りたい人は、著者が違うアドラー心理学本もあわせて読んでみると良いでしょう。

『嫌われる勇気』の基本情報

著者岸見一郎
古賀史健
出版社ダイヤモンド社
ページ数296ページ
大きさ縦:18.9cm
横:13.1cm
厚さ:1.5cm
参考価格1,650円
読書時間の目安約3時間