トラウマからの回復と社会の修復

トラウマからの回復と社会の修復
本のおすすめポイント
  • トラウマインフォームドケア(TIC)についてまとめた心理学本
  • トラウマにアプローチするための基礎知識や著者の臨床知見を紹介
  • トラウマ支援の実際や葛藤がわかりやすく説明されている

【一言レビュー:トラウマケアに関心のある人にはおすすめできる心理学本】

『トラウマからの回復と社会の修復』は、本人の問題とみなされがちな言動を、トラウマの影響の可能性から理解していく「トラウマインフォームドケア(TIC)」についてまとめた心理学本です。

この本は、主に児童福祉の領域で活躍されている野坂裕子先生が解説しています。トラウマにアプローチするための基礎知識や著者の臨床知見が、事例とともに紹介されていました。

個人的には”環状島”モデルをもとに、トラウマインフォームドな視点を持つことの大切さを説明しているのが印象的でした。トラウマ支援の実際や葛藤が、わかりやすく表現されているように感じます。

また読むことでトラウマの理解が深まり、過去の自分と向き合うきっかけにもなると思いました。トラウマケアに関心のある人にはおすすめできる一冊です。

『トラウマからの回復と社会の修復』の目次

序に代えて:社会適応という自己不適応
□トラウマを理解する
第1章 はじめに〈傷〉あり
第2章 トラウマ・逆境体験を〈超える〉治療共同体
第3章 闘争後の闘争――トラウマティックな関係性の再演と回復――
第4章 家(イエ)に潜む暴力――家族観の暴力はなぜ起こるのか―― 
第5章 ジェンダーにおける加害者性と被害者性の位相
 ――トラウマティックな関係性の再演から――
第6章 児童福祉領域におけるトラウマと支援者支援
 ――“環状島”モデルによるサバイバルガイド――

□トラウマインフォームドケアの臨床応用
第7章 怒りの表出と行動化
第8章 ファーストクライエントの特定――「問題児」からクライエントへ――
第9章 非行少年との出会い
第10章 「あなたは一人じゃない」から「あなたは一人でいい」へ――
 SNS・関係性依存――
第11章 傷つけられた子どもと社会の〈再生〉に向けて
第12章 加害者臨床における責任の所在とトラウマインフォームドケア

□トラウマの理解と支援
第13章 子どもの性被害と性加害
 Ⅰ 子どもへの性暴力の特徴
 Ⅱ 性暴力の影響と被害児へのケア
 Ⅲ 性問題行動の理解と加害児への支援
 Ⅳ 性暴力からの回復と予防に向けて
第14章 施設における子どもの性と包括的性教育
第15章 デートDVにみる支援と社会の課題
第16章 性的搾取に遭う若者の理解と支援
文  献
あとがき
索  引

『トラウマからの回復と社会の修復』の基本情報

著者野坂 祐子
出版社金剛出版
ページ数230ページ
大きさ縦:21cm
横:14.8cm
厚さ:2cm
参考価格3,850円
読書時間の目安約3.5時間